某・書籍の中の特集記事として、「古い無線機がどこまで使えるか」みたいな、企画のようです。
で、私なら『使えるFT-101』を持っているのではないか、ということで問い合わせがあり、手元にある比較的程度の良いFT-101Eをメンテして貸し出すことになりました。
手持ちのFT-101Eを押し入れから引っ張り出し(勿論、ビニールに包んで保管してあるのですが)、取りあえず動作するかどうか調べようと電源を入れた瞬間、『BOKAAAANNNNNN!』と電源部のケミコン(コンデンサ−)が爆発。
前途多難を予感させるスタートです。
写真は全てクリックで拡大します。
▲交換が必要な部品を取り換えたり、パネルやケースを綺麗にクリーニングする作業を同時に行うことにしました。
パネルの表面に貼られているビニールをはがして洗剤に漬けて洗います。
このときに外したツマミ類も漬けおき洗い。
▲細部のホコリは掃除機で吸い取り、刷毛で内部を綺麗にしていきます。
▲もともと1977年製で後期型。保管状態も良かったのだと思いますが、基板類も綺麗です。
何年か前に交換したことがある必須交換部品も、基板ごとに再び交換しながら組立直していきます。
▲パネルビニールも貼りなおしました。
手前は、いまどき珍しいHI-IMP(ハイインピーダンス〜50KΩ)の専用マイクです。
パネルごしに見える『・・・農業・・・』の文字が、現在の仕事とのギャップを感じさせて笑えます。
▲取っ手も、手持ちに少し綺麗な物があったので交換しました。
ケースは液体クレンザーで優しく洗います。
▲コレ、ご存知の方はご存知と思いますが、1KW用のダミーロードという物です。TL922という1KWのリニアアンプで局免許申請をするために以前購入したものです。実はこの缶の中身の溶媒は冷却用のサラダオイルです。
送信部の修理も終え、アンテナをつながない状態で出力を計ってみましたが、14MHzでちゃんと120Wが出るようになりました。
▲BIRDという会社のMODEL43という出力計です。業界ではスタンダードな測定機として名が通っています。
▲これも、メーカーで標準的に使っていたSSG(標準信号発生器)。
これで信号を入れて感度を測定したり調整したりします。
実はコレ、ヤフオクで落札したものです。
▲FT-101Eよりは新しい、それでも10年以上はたっているFT-1000という無線機です。
この機械は理論上、送信周波数と受信周波数にズレが生じないので、FT-101のように送信周波数と受信周波数がズレる場合がある無線機は、『泣き合わせ』という方法で組み合わせて送受信周波数を合わせます。
ここに書いていない内容もたくさんあり、数日をかけて修理、調整を行いました。
上記のメンテナンスガイドは廃版になった書籍ですので、オークションでしか入手できませんが、出版元では今年からCD-ROM版を販売し始めましたので、もしよかったらど〜ぞ。
なんてね。101を持っていない方にはナンダソレの世界ですね。
で、色々ありましたが修理完了。
送信、受信ともに異常なしで引き渡し完了しました。
記事はいつ出るんでしょうかね。私も知りません。
以上、フツーの方にはナンの話かまったくお分かりにならないかもしれませんが・・・昔はこんな仕事もやってました、というお話。